SaaS営業とは?仕事内容と一般的な営業との違いについて

近年、SaaSという言葉を耳にするようになりました。

SaaSというのはsoftware as a serviceの略称で、インターネット上に存在するソフトウェアやサービスをクラウド上で提供するサービスを指します。

SaaS業界は、近年、最も活気に満ちた業界の1つです。

日本では、国がSaaS導入を支援していることもあり、急成長を遂げており、2024年には1兆1,200億円の市場規模になると予想されています。

本記事はSaaS営業と一般的な営業の異なる点、SaaS業界の動向、どんなSaaS企業があるかについて解説しています。

目次

SaaS営業とは

SaaS営業では、営業をプロセスごとに分けて、各担当が連携を図りながら潜在層発掘から契約後のフォローまでを担っています。

2021年9月に国や地方自治体のIT化やDX推進を目的とした「デジタル庁」が発足しました。

「デジタル庁」では、クラウドを活用した行政の基幹業務システム、つまりSaaSの導入を推進しており、今後もますますSaaS市場が拡大していくことが期待できます。

2024年には市場の業界が1兆1,200億円規模になるとも予想されており、その営業職ともなれば、高待遇を始め、他では経験できないような大規模な仕事を任せてもらえることが期待できるでしょう。

近年では、コロナウイルス感染症拡大の影響で、SaaS企業の多くがリモートワークを定着させているSaaS企業が多く、営業もリモートワークで対応しています。

顧客との商談もweb会議システムを用いて行うため、会社に出社せずに効率良く営業活動を進めることができます。

他業界と比較しても、SaaS業界はリモートワークの定着率が高いため、子育てと仕事を両立しやすいという声が多いです。

一般的営業との違いは

SaaS営業と一般的な営業との違いを解説します。

  • プロセスごとに職種を分別している

SaaS営業と一般営業との大きな違いは、SaaS営業はプロセスごとに職種を分別しています。

企業によって違いはありますが、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに分けているSaaS企業が多いです。

  • 売り切り型の営業ではない

一般の営業は売り切り型の営業が多く、製品レベルが低くても提案力やクロージング力で受注できることが良い営業とされています。

しかし、SaaS営業は、売り方が後のLTV(Life Time Value)に関わってくるため、販売する際に顧客との信頼関係を築き、かつ顧客の社内における部署をまたいだ関係性を広げておくことが重要になります。

SaaS営業のプロセスごとの役割

プロセスごとに分けられたそれぞれのSaaS営業の役割を解説します。

  • インサイドセールス

リーマンショック後のアメリカで発祥で、近年では従来の営業を上回る程、インサイドセールの数が増えてきました。

内勤営業と言われ、直接訪問をしない営業で、非対面でのコミュニケーションが多くなり、今後の営業効率を良くするために必要な役割です。

最初に顧客と接点を持つことになるので、企業の第一印象を決める存在としても、扱われています。

インサイドセールスの役割を一言で表すと「フィールドセールスの橋渡し役」です。

広告やセミナーなどで商材を認知したばかりの見込み客に対して、メールや電話、web会議システムなどで働きかけ、商談に必要な項目をヒアリングし、より受注確度の高い顧客へと育て、その後にフィールドセールスに引き継ぎます。

顧客との最初の接触からアポ・商談設定までを行う役割を担っています。

また、既存顧客に対しては次回購入や追加提案が見つかるまで繋ぎ留めておく役割もあります。

従来の営業では、遠方の顧客に対しては頻繁に訪問できない為、契約を諦めていました。

しかし、インサイドセールスはそうした顧客にもアポイントメントが可能です。

ネットを通じて、お店に直接出向かなくても物を購入できることが一般的になっている昨今、ユーザーの行動にマッチングした新しい営業形態と言えるでしょう。

  • フィールドセールス

外勤営業と呼ばれており、インサイドセールスから顧客情報を引き継ぎ、直接訪問して提案やクロージングを行います。

従来通りの営業スタイルといえるでしょう。

しかし、従来と違って、インサイドセールスによって成約見込が高そうな顧客を選定された状態で訪問することになり、営業効率が上がり、コスト削減にもなります。

これまでの営業では、営業マン個人のスキルによるところが大きく、優秀な営業マンが異動や転勤でいなくなってしまうと、その部署の業績が一気に下がる場合がありました。

こういった営業スキルの再現性の低さに対して、営業プロセスを分業し、数字で分析しやすくすることで誰でも一定の成果を出しやすい仕組みの構築を目指しています。

働く側としても、決められた業務に注力できる為、働きやすさを実感できるでしょう。

  • カスタマーサクセス

顧客が自社製品・サービスをうまく活用できているか確認し、必要ならばフォローすることが主な役割です。

カスタマーサポートと混同されることが多いですが、その仕事内容は異なります。

カスタマーサポートは、顧客から問い合わせがあって初めて行動するため、受動的( 受け身)であると言えます。

それに対して、カスタマーサクセスは、顧客に発生する可能性がある問題や課題を先読みして、事前に防止策や対策を考えた能動的な支援を行います。

顧客の利用状況などに応じて、継続的に行動を続け、顧客を成功へと導く役割を担います。

そのため、行動は中・長期的になる事も多いです。

”攻め”のカスタマーサクセス(受動的)に対して、 ”守り”のカスタマーサポート(能動的)といったような違いがあります。

また、カスタマーサクセスの指標(KPI)として、サブスクリプションモデルのビジネスにおいてとても重要な「解約率」が挙げられます。

解約率(チャーンレート)が高くなることは、事業や利益の縮小に繋がるので、ヘルスコアを算出して顧客を適切にフォローし、常に解約率を低く維持することがカスタマーサクセスの目標となります。

SaaS業界の7つのトレンド

  • SaaS時代のセキュリティ

テレワークによるアクセス地点の分散、SaaS利用の増加から、新たな脅威が表面化しました。

クラウド活用を前提にしたセキュリティ対策が求められており、セキュリティーベンダー各社が機能強化を進めています。

「ゼロトラストセキュリティ」という、すべてのアクセスを決して信用せず常に確認する概念が生まれ、サイバー攻撃が高度化し続ける中で世界的に導入が進んでいますが、日本は遅れをとっており、セキュリティリスクが懸念されています。

  • コミュニケーション新時代

テレワークが一般化した一方で、オフィス回帰の動きも根強く、オンラインとオフラインを掛け合わせた就労環境作りが求められています。もっとも変化しているのがコミュニケーションです。オンラインのプラットフォーム上へ、アバターなどを介して出社するバーチャルオフィスツールの利用が拡大しました。2020年度の売上は3億2,000万円でしたが、2025年度の市場規模は30倍以上の95億円に達するとITRは見込んでいます。また、音声コミュニケーションツール「Discord」がビジネスシーンでも利用されるようになりました。音声のみでゆるくつながり、気軽なやりとりを増やす狙いだと推測されます。

他の音声SNSやpodcastが脚光を浴びるなど、広告市場でも音声コンテンツの注目度が上昇しています。

  • ノーコード・ローコード

アプリ開発の際に専門的なコードを書かなくても、ドラッグ&ドロップなどのマウス操作で開発できるプラットフォーム「ノーコード・ローコード」が2020年から広まっています。

IDCによると国内企業の約38%がプラットフォームを導入済みで、その背景には、世界的な技術者不足があり、DX実現の要となりそうです。

また、多数のSaaSを利用するようになり、業務効率化やIT統率のニーズが増大しました。

アプリケーション同士を接続する「iPaaS(intergration Platform as a Service)」の活用が進んでいます。

  • ビッグデータ活用

ビッグデータやAIの活用が本格的な普及段階に入りました。

2020年はリモートワーク対応の為のIT投資が先行しましたが、デジタルシフトの進展でデータ活用需要が増し、2021年以降はデータベース管理や分析用ツールの市場拡大が見込まれます。

農業、製造、小売、サービス、医療、製薬などの各業界に特化したデータ分析SaaSもリリースが相次いでいます。

また、AI技術の民主化が進み、自社でAI開発に取り組む企業が増加しました。

それに伴い、教師データ作成に欠かせないアノテーション作業を自動化するサービスが活用されています。

  • 中小バックオフィス改革

中堅・中小企業も、クラウド活用への意識が高まっています。

特に法改正が盛んなバックオフィス領域の環境設備が急がれています。

インストール型パッケージソフトからSaaS移行も活発で、直観的なUIを特徴とする製品が増えており、現場の利便性も向上しています。

また、勤怠管理、経費精算などのフロント機能をSaaSにし、既存の自社EPRと連携させるといったニーズも多いようです。

  • 小売DX

消費活動のオンラインシフトに伴い、EC利用が定着しました。

小売事業者は対面販売に依存しない業態への転換を迫られており、ネット販売の導入が相次いでいます。

ECサイトの開設・運営、在庫管理、決済、マーケティング領域のSaaSが積極的に活用されています。

  • バーティカル市場の拡大

業界特化型のサービスを提供する「バーティカルSaaS」が大きく成長しています。

DX機運の高まる製造業、建設業などでは、業界内のさらなる”バーティカル化”が進行。

また、医療、製薬、不動産などのレガシーな業界でもSaaSが利用されるようになっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ここまで、SaaS営業と一般的な営業との違いから始まり、SaaS営業の職種、SaaS業界の動向、今後注目のSaaS企業を解説しました。

この記事が、皆さんの転職にお役立てれば幸いです。

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