AWSとAzureを徹底比較!クラウドの違いや選び方について解説
AWSとは
AWSとは、ネットショッピング大手のAmazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスで、Amazon Web Servicesの頭文字を取ったものです。AWSはクラウドサービスのパイオニアであり、AWSのウェブサイトによると、世界で最も使われているクラウドサービスであり、「世界中のデータセンターから200以上のフル機能のサービスを提供」しています。
AWSのメリット
クラウドサービスのパイオニアであるAWSには、他のクラウドサービスと比較して、どのようなメリットがあるのでしょうか。
- メリット①パイオニアとしての実績
AWSがサービス提供を開始したのは2006年。クラウドサービスとして、すでに15年以上の実績があります。当初、クラウドサービスには安全性や信頼性を懸念する意見もありましたが今ではむしろ、自社サーバを保有・運営することの方がリスクが大きいと考えられるようになっています。
- メリット②コストメリット
AWSは、初期費用がかからず、必要な時に、必要な分のみを利用できるクラウドサービスのメリットに加えて、世界中の顧客にサービスを提供しているスケールメリットや新技術の積極的な導入によって、利用コストの継続的な削減を実現しています。ユーザーはAWSを利用することで、ITコストを下げることが可能になります。
- メリット③高機能・拡張性
AWSはクラウドサービスのパイオニアとして新機能を次々と追加・更新しており、ユーザーは最先端の機能をいつでも、すぐに利用することができます。もちろん最小単位の1ライセンスから利用可能。最先端のサービスを最小限でスタートさせることから、グローバル規模で広く展開することまで柔軟な展開が可能です。
AWSのデメリット
さまざまなメリットがあるAWS。デメリットも理解しておきましょう。
- デメリット①最適なサービス選択が難しい
AWSには現在、200以上のサービスがあります。基本的なサービスとしては、仮想サーバのEC2、オンラインストレージのS3、データベースのRDSがありますが、そのほかにもさまざまなサービスがあり、初めて利用する場合、最適なサービスを適切に選択することは、かなりハードルが高いと言えるでしょう。
- デメリット②コストの全体像がつかみにくい
AWSは必要な分だけサービスを利用し、利用に応じてコストを支払う従量課金制です。毎月の利用コストが変動するため、予算管理が難しい面があります。またクラウドは一般的にはコスト削減が可能とされていますが、さまざまなサービスを付加したり、想定以上のアクセスがあった場合は、コストが増加することになります。
- デメリット③制限がある
AWSはさまざまなメリットがある一方で、自社サーバのような細かいカスタマイズは望めません。あくまでもクラウドとして提供されているサービスを利用することになります。また、メンテナンスもAWS側のスケジュールで行われますので、ダウンタイムへの対応が必要になることもあります。
Azureとは
Azure(アジュール)とは、マイクロソフトが提供しているクラウドサービスです。2008年10月に開発者会議で発表され、2010年10月に「Windows Azure」としてスタート、現在は「Microsoft Azure」に名称を変更しています。Azureは英語で「空色」「青色」という意味があります。
Azureのメリット
AWSの最大のライバルと言えるAzure。メリットを見ていきましょう。
- メリット①マイクロソフト製品との親和性
マイクロソフトは言うまでもなく、PC利用において圧倒的なシェアを持っています。OSやOffice製品はもちろん、Active Directoryなど、ビジネスでのPC利用・管理に欠かせない製品との親和性が高く、Azureとの連携や移行のハードルは低くなっています。よりビジネス利用に適したクラウドサービスと言えます。
- メリット②業界向けソリューション
マイクロソフトはサーバ製品の提供などで、すでにさまざまな業界でのソリューション実績を持っており、それをAzureにも生かしています。Azureには金融サービス、行政、医療、小売業など、各業界に固有の課題や問題点に対応した業界向けソリューションが用意されています。
- メリット③オンプレミス環境との連携
ITシステムをマイクロソフトのサーバ製品で構築し、オンプレミス環境、すなわち自社で保有・運用している場合、重要なデータはオンプレミス環境で運用し、他はAzureで運用するといった環境構築も容易です。いわゆる「ハイブリッドクラウド」と呼ばれるものです。最近、クラウドとオンプレミスのメリットを生かした手法として注目されています。
Azureのデメリット
急成長しているAzure。デメリットには、どのようなものがあるでしょうか。
- デメリット①情報量が少ない
Azureは、AWSを追って急成長しているクラウドサービスですが、AWSに比べるとどうしても情報が少ないというデメリットがあります。AWSは業界向けソリューションを整えているなど、ある程度の規模の企業への導入には強いですが、自力で情報を集めて構築することはAWSより難しいと言えます。
- デメリット②仮想マシンの起動が遅い
Azureの仮想マシンは起動に時間がかかると言われています。AWSの仮想マシンは1分程度で起動するのに対して、Azureの仮想マシンは倍程度かかるようです。いずれにしても短い時間ではありますが、開発やテストはもちろん、運用の場面では小さなストレスが積み重なります。
- デメリット③専門知識が必要
Azureはビジネスユースを意識したサービスを備えていますが、それらを活用するには専門知識が必要になります。認定資格を持った専門スタッフを抱えて、Azureを利用している企業もあるようです。
AWSとAzureの共通点
AWSとAzureのメリット・デメリットをそれぞれ取り上げました。改めて共通点を整理してみましょう。
- ポイント①幅広いサービス
AWSもAzureもITシステムのクラウド化に必要なサービスをすべて揃えています。仮想サーバ、ストレージ、データベース、ネットワークサービスなど、あらゆるニーズに対応できると言っても過言ではないでしょう。
- ポイント②従量課金制
クラウドサービスは、サービスを使用した分だけ支払う従量課金制がメリットです。AWSもAzureも、もちろん、使用時間に基づく従量課金制を採用しています。
- ポイント③世界中にデータセンターを展開
AWSもAzureも世界中にデータセンターを展開しています。日本だけでなく、海外でサービスを展開する場合、わずかな手順でサービスを他の地域に展開することができます。
AWSとAzureは併用できる?
AWSとAzureは、クラウドサービスのマーケットシェアを競うライバルですが、ユーザーから見た際、2つを併用することに意味はあるのでしょうか。
- 併用するメリット
AWSとAzureを併用するメリットは、まずリスク分散があげられます。AWSだけ、Azureだけでも使用するリージョンを変えたり、同じリージョン内でもデータセンターを使い分けることでシステムを二重化したり、ディザスタ・リカバリ(DR)や事業継続計画(BCP)に取り組むことは可能です。AWSとAzureを併用すれば、さらにリスク分散を徹底できます。
その他、併用することによって、AWSとAzure、それぞれのメリットを生かしたシステムを構築することもできます。社内システムとの連携が重要なシステムはAzureで、ユーザーへの迅速なサービス提供が重視されるシステムはAWSで、と切り分けて運用することができます。
- 併用するデメリット
デメリットは、システムの全体像が煩雑になり、運用の付加が大きくなることです。AWS、Azure、それぞれの使い方・ノウハウを習得する手間やコストもかかりますし、AWSとAzureでシステムを連携させなければなりません。
メリット、デメリットは表裏一体です。初期コストはもちろん、運用コストも含め、十分な検討が必要です。
AWSとAzureを使い分けるポイント
AWSとAzureを使い分けるポイントは、マイクロソフト製品との連携、柔軟性の2点で考えるとよいでしょう。どちらも幅広いサービスを備え、ユーザーのさまざまなニーズに対応可能ですが、社内で使っているマイクロソフト製品との連携が前提となる場合はAzure、テスト的なプロジェクトや頻繁な変更が見込まれるプロジェクトはAWSが適していると言えます。
AWSとAzureについて知っておくべきポイント
AWS、Azureは、どちらも優れたクラウドサービスです。よりうまく活用するために、知っておきたいポイントを紹介します。
- ポイント①リージョン(データセンター)
AWSとAzureも世界中でサービスを展開しています。クラウドサービスは理論的には場所を問わないサービスですが、実際のところ、世界各地にデータセンターがあり、サービスを提供する範囲は「リージョン」と呼ばれる単位で区切られています。
日本では、AWSは、アジアパシフィック(東京)とアジアパシフィック(大阪)の2つのリージョンを置いています。Azureも同様に、東日本、西日本の2つのリージョンを展開しています。2つのリージョンを利用すれば、システムを二重化し、リスク分散を図ることができます。
- ポイント②仮想サーバ
クラウドサービスでは、仮想サーバ上にシステムを構築していきます。AWSの仮想サーバは「EC2」、Azureは「Virtual Machines」です。どちらもCPU数、メモリサイズなどを組み合わせた複数の選択肢が用意されており、用途に応じて最適なものを選ぶことができます。
ポイント③無料枠
AWSもAzureも、1年間有効な無料枠や利用状況に応じて無期限で無料で利用できるサービスなどがあります。うまく活用すれば、運用コストを削減することができます。
AWSとAzure、ライバルサービスは併用可能!
AWSとAzureは、クラウドサービスのシェアを競うライバルサービス。クラウドのパイオニアであるAWSを、ビジネスユースに強いAzureが追い上げています。それぞれ得意・不得意がありますが、ユーザーの立場から考えると、組み合わせて併用することができます。
ライバルサービスの上手な使いこなし、一度考えてみてください。